2008.07.11
マネーマネーマネー
シュワシュワシュワっと喉元で、スプリッツァの泡がはじけた。私はグラスをサイド・テーブルに置くと、足を延ばし、ソファに横たわった。そして、うつらうつらと目を閉じながら、自分のまわりの世界を見て、満足そうにこう思ったんだ。
「そう!この世界は、私が選んだ世界。私が作った世界。今、私は知っている。本当はみんな魔法使いだってこと。それを知っている人たち。それを知らない人たち。その差は大きい。だって、知らない人たちは、無意識のうちに自分でかけた呪縛にとらわれているんだもの。昔の私がそうだったようにね。
“人生は楽しいことだけじゃない”“生きるために闘わなくては!”“それはムリ”…そんな考えは呪縛以外のなにものでもない。そこから自分を解放するには、考え方を変えればいいだけなんだ。そうだったよね?PJ。
だけどね、もうひとつだけ、モヤモヤしている問題がある。それは…実は、お金のこと。」
私はいつの間にかPJに話しかけていた。
「私は専業主婦でしょ。このままでいいのかな。自分が使う分くらいは自分で稼ぎなよって、昔の私は思っていた。今の私は…わからない。お金のために働くべきなのかな。」
すると、ふいに体の内側から笑い声が聞こえてきた。私にはその意味がわかっていた。これは軽蔑の笑いなんかじゃない。「リラックス、リラックス、ベイビー。もっと肩の力をぬいて」と言っている。
「ディア・ママゴン。その質問は、お金についてのことじゃないでしょう?それは、幸せについてのこと。もしくは、本来あるべき自分のライフスタイルについてのことじゃない?
なにかまだ今の状況で変えたいことがある?家のこと?デコレーションのこと?それは、専業主婦では成しえないこと?
ママゴンの内なる声は、もっと大きく羽ばたきたいと言っている?これが本当の質問でしょう?そのことがはっきりわかれば、答えを得ようとお金の質問をする必要はないです。おのずと答えはやってきます。」
確かに!お金のことじゃなく、今の自分のライフに足りないものがまだなにかある。私はPJの答えに打ちのめされた気分でいた。なのに、もうすでに新たな質問が頭に浮かんできていた。
「じゃあPJ、もしもっとお金が必要でも、私、お金が来るのをただ待っていればいいの?だって、宇宙は私が必要なものはすべて与えてくれるんでしょ?」
「目的がなければ、お金は意味のないものでしょう。宇宙はそういうものをあげることはできないです。だけど一旦目的をはっきりと持てば、それが心から必要なものであれば、宇宙は手助けしてくれます。
ある時は、それは必要なお金かもしれない。ある時は、その目的を実現するための状況かもしれない。
例えばだけど…話せば長くなるから手短に言うけど、僕はこのカフェのキッチンに一銭のお金も出していない。これを始めた時に宇宙からもらったプレゼントです。
ママゴン、ホンモノのお金持ちの人たちの特徴のひとつは、“意識”なんです。自分たちは無限だという意識です。彼らは、個人的な経験から、夢はどんな時でも叶うということを知っています。彼らはこの考えを、親から、友人から、本から、あるいは心の叫びから得ていて、それを心底信じています。
自分はお金持ちじゃないと思っている人たちは、客観的にみるとお金があるのに、自分たちの内面に限界を感じている。だから、もっと安全でいるために、もっとお金が欲しいと思っています。
でも想像してみて。誰が100%安全でいられる?彼らの過去を見てみれば、親の代のビリーフ・システムの中に、“お金がないとできない”という類のたくさんの観念を見つけることができるでしょう。これは、宗教になります。お金は、ライフを支配する冷たく恐ろしい神になります。
実際にはお金の問題なんて存在しない。その裏側にいつも本当の問題が隠されています。
あなたを生き生きと喜びに満たしてくれるものは何?というごく日常的な質問をしましょう。ママゴン。そして知っての通り、答えは私から出てこない。それぞれが皆、自分でその答えを得ないとね。」
そう言い終わると、笑ったPJの顔がフェイドアウトしていった。私はテレビの番組がちょうど終わったことに気がつき、スイッチを消して立ち上がった。
「私を今ワクワクさせるものは何?…そう、眠ること!」私は苦笑いを浮かべてバスルームに向かった。鏡の中でシャカシャカシャカと歯磨きする自分の顔を見つめると、内なる声がこう言うのだった。
「ねえ、あなたって案外セクシーなんじゃない?」
「フフフ…そうなの。」
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